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特殊清掃への疑問解消します

環境の本当の姿を理解するためには、地球をまるごと把握する必要がある。
そのためには、どうしても包括的な視点に立たねばならない、ということだ。 つまり、「たこ壷思考」から「ふろしき思考」への転換が必要なのである。
「ふろしき思考」=包括的思考ということになれば、自然のもっとも基本的な性質をあつかうことのできる物理学が得意とするところだ。 物理学と聞くとぞっとする、と毛嫌いする人もいるかもしれない。
現に、昨今の若者の理科離れには、中学・高校で習う物理学も一役買っているようだ。 だが物理学のなかにはけっこう知的好奇心をくすぐられるテーマが多いし、やっかいな数学さえ持ち出さなければ、概念そのものは決してむずかしくはない。
社会人を対象としたスクールなどで、「宇宙・物質の根元」といった話をすると、質問攻めにあって嬉しい悲鳴をあげることがよくある。 まずは肩の力をぬいて、以下の話を聞いてほしい。
物理学はこれまで、自然界の多種多様な現象のなかから、それらの根底にある共通の基本法則をあばきだし、「物質とは何か」「宇宙とは何か」といった根本的な疑問への理解を深めてきた。 たとえば、万有引力の法則。
ギリシャ時代において、天体と地上の物体は、まったく異なる原因で運動していると考えられていた。 万学の父、Aが活躍した紀元前4世紀ころは「天動説(地球中心説)」の時代だったということはご存じだろう。

地球のまわりを月、水星、金星、太陽、火星、木星、土星が円運動しており、そのいちばん外側に恒星があるという宇宙像が定着していた。 そこでAは、月より上の天上界では星は円運動を(それは始めも終わりもない永遠の運動である)、月より下の地上界では物体は雑多な運動をする、と考えた。
たしかに、地上で投げた石の運動と惑星の運動は、まるでちがった原因で引きおこされているように見うけられる。 ところがN(英、1642−1727)は、これらの現象をより基本的な視点からとらえていた。
そして、いまから340年ほど前、あらゆる運動を支配する「万有引力」の法則を発見した。 Nが発見した力学の基本法則は、天体の運動ばかりでなく、飛行機、電車、自動車、そしてサッカーボールなどの、さまざまな運動を正確に記述する。
だからこそ、この基本法則を使って多様な技術が発展し、人類は生活の利便性を高めることができたのである。 ところで、ぼくがここで言っている「基本法則」とは、この万有引力の法則のように「自然のしくみを明らかにするための知的な行為から生み出されたもの」という意味だと考えてほしい。
それがすぐに実生活に役立つかどうかとは、直接関係がない。 知的な活動によって明らかにされてきた物理法則。
だからこそ、それは、人間の主観を離れ、だれもが納得する「地球環境の基本法則」を提供することができるのだ。 「生命圏」という地球のシステム生命圏には「つながり」がある「持続可能(sustainable)な地球」をめざすために、地球環境を支配する普遍的な法則を明らかにしたい、この目標の第一歩を踏みだすために、まず地球環境の特徴は何かと問いかけてみよう。
わが太陽系には、太陽を中心にして、9個の大惑星(水星、金星、地球、火星、木星、土星、天王星、海王星、冥王星。 2006年の夏に冥王星が惑星の定義からはずされたが、ここでは慣れ親しんだ9惑星を挙げておこう)が周回しているが、高等生物の住む星は地球だけに限られる。
Nの探査機が、かつて火星にも生命が存在していたらしいことを明らかにしたが、現在の火星は、液体の水もない冷たい星になっていて、とても生物が生存できる環境ではない。 多種多様な生物が生息していることこそ、地球がもつ最大の特徴なのだ。
そしてその生物たちは、それを取り囲む土壌、水、空気などの無生物に依存しながら生きている。 もちろん、生物どうしもまたおたがいに共生しているし、さらに、物質の間にもさまざまなかたちの相関がある。

森羅万象には「つながり」があるのだ。 そうであれば、地球環境を理解するためには、生物と無生物を切り離して議論することには意味がない。
そこで、このような生物と無生物の総体を「生命圏」とよぶことにしよう。 生命圏は地球だけに存在していて、「つながり」という特質をもつ。
では、「つながり」とはなんだろう。 たとえば、人間と植物のつながりといったとき、何を想像するだろうか。
人間は米・麦などの穀物、そして豚・牛などの肉を食べることで、動植物とは切っても切れない関係にある。 さらに、ひと昔前であれば、人間の排泄物は大地に返され植物の栄養分になる。
こうして成長した植物(野菜)をまた牛や豚が食べ、それが人間のタンパク源になる……。 一般に、植物は動物への食料を提供することから「生産者」とよばれ、動物は植物を摂取する「消費者」といわれる。
動物の死骸や枯れ本・落ち葉など、自然界に排出された有機物は、まず虫によって細かく砕かれる。 それはさらに、菌類によって無機物に分解され、最終的に植物の栄養源になる。
菌類は「分解者」の役割を果たしている。 ところで、万物にはたらく重力は、物質を地球の中心に向かって引きつける。
このことから単純に推測すれば、山の栄養は川から海へ流れ出し、いずれ山は栄養不足でハゲ山に、そして海は栄養過多になるはずだ。 しかし実際は、陸地における生物の多様性を見ればわかるように、そのようなことは起こっていない。
なぜだろう?その理由のひとつとして、サケや鳥といった生物が、海の栄養を高地に運び上げていることが指摘されている。 それは重力の作用とは逆方向の、海から陸への栄養分の移動を意味する。
Kは、『環境の基礎理論』のなかで、動物に栄養物の「運搬者」という積極的な意味をあたえている。 これらの例から明らかなように、人間と動植物のあいだには、食料とか排泄物といった「物質のやり取り」がある。

もちろんそれは、生物だけの専売特許ではなく、生物と無生物を問わず生命圏全体の特徴ということができる。 たとえば雨は川を通って海に流れ出し、それが蒸発して、ふたたび雨になって陸地に帰ってくる。
陸と海が物質のやり取りをしているわけだ。 さらに生命圏には、物質のやり取りとともに、「エネルギーのやり取り」という、もうひとつの重要な性質がそなわっている。
エネルギーとは、ある物体が仕事(作業)をする能力のことだ。 「あの人はエネルギッシュだ」といえば、よく動いていろいろな作業をこなす能力が高いことを想像する。
エネルギーには、運動エネルギー、位置エネルギー、熱エネルギーなどの種類があって、たがいに移り変わることができる。 たとえば、ハンマーを鉄などに強く打ちつけると鉄が熱くなるが、これは、ハンマーの運動エネルギーが熱エネルギーに変わったことを示す。
水力発電の例を見てみよう。 位置エネルギーの大きさは高さに比例するから、高い場所にある水は、大きな位置エネルギーをもつ。
ダムの水は落下することにより、位置のエネルギーをタービンの回転という運動エネルギーに変える。 さらに運動エネルギーは、発電機によって、電気エネルギーに転換する。
ここまでくれば、生命圏の特質「つながり」の意味がはっきりする。

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